ワクチンの比較
ロタウイルスワクチンには「ロタリックス」と「ロタテック」の2種類があります。
最初のワクチンでご両親には違いがよくわからず、どちらにしようか迷われることと思いますので、2種類を比較できるように表にしてみました。
いずれのワクチンも感染防御率70%以上・重篤化阻止率90%以上で、ロタウイルス胃腸炎の予防に関しては同等の効果が得られます。
主な違いは、接種回数と料金、直後に大半を吐き出してしまった場合に飲み直しできるかどうかの3点です。
なお、空腹時に接種していただければ、大半を吐き出してしまうことはめったにありません。
※ロタウイルスワクチンは、2020年10月1日より定期接種の対象となっています。
製品名 | ロタリックス | ロタテック |
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製造メーカー | GSK(英国) | MSD(米国) |
接種時期(生後) | 6~24週(4週間以上間隔をあける) ※初回接種は14週6日まで | 6~32週(4週間以上間隔をあける) ※初回接種は14週6日まで |
接種方法 | 経口(飲むワクチン) | 経口(飲むワクチン) |
ウイルス株と構成 | ヒトロタウイルス(G1P8)1種類を継代培養して弱毒化 | ウシロタウイルス(人に対する病原性が低い)を元に感染に関わる外側の遺伝子をヒトロタウイルスに置き換えた再集合体5種(G1、G2、G3、G4、P8)のウイルスを混合 |
ロタウイルス胃腸炎全体の予防効果 | 79% | 74% |
重症なロタウイルス胃腸炎の予防効果 | 90% | 98% |
接種回数★ | 2回 | 3回 |
1回の接種量 | 1.5mL | 2mL |
料金(税込)★ | 12,000円 ×2回= 24,000円 | 7,400円 ×3回= 22,200円 |
接種直後にワクチンを吐き出した場合の対処★ | 大半を吐き出した場合は改めて本剤1.5mLを接種することができる | その回の追加接種は行わないこと |
主な副反応 | 易刺激性7.3%、下痢3.5%、咳鼻水3.3% | 下痢5.5%、嘔吐4.2%、胃腸炎3.4%、発熱1.3% |
その他 | 本剤接種後約7日をピークに平均で10日間、ワクチン由来ウイルスの糞便中への排泄が認められます。 | 初回接種後1週間以内に、ワクチンウイルスの排泄を伴う経度の胃腸炎症状が認められる可能性があります。 |
心配されていたロタウイルスワクチン接種後の腸重積症の発生リスクについてですが、定期接種化され多くの被接種者が増加した海外からの報告では、自然発症率が初回接種後にわずかに増加することが報告されています(2~10万人接種で1名程度の増加)。
ただロタウイルス胃腸炎による入院や脳炎・脳症等の重症例の予防効果のメリットは腸重積症発生リスクをはるかに上回るため、各国ではロタウイルスワクチン接種を推奨しています。
接種前後の注意事項
接種前
ロタウイルスワクチンは飲むワクチンのため、接種前にお腹にミルクが残っている状態ですと、赤ちゃんがワクチンをなかなか飲まなかったり、飲んだ後にワクチンを吐いてしまったりする可能性があります。
そのため、接種前2時間程度は可能な限り授乳を控え、お腹がすいている状態でご来院くださるようお願いいたします。
接種後
ロタウイルスワクチンの接種後に嘔吐や哺乳不良、活気不良、機嫌不良、血便など腸重積症が疑われる症状が認められた場合は、すみやかに病院を受診してください。